中国における安全性未審査の遺伝子組換え米の流通事例について
標記について、4月13日付けのグリーンピースのウェブサイト
(http://www.greenpeace.org/international/news/scandal-greenpeace-exposes-il)に、記事が掲載されたため、関連情報を整理してQ&Aとしてまとめましたので情報提供いたします。
中国における安全性未審査の遺伝子組換え米の流通事例について
Q.1 中国で遺伝子組換え米が栽培されていたとの報道がありましたが、これはどのような事例ですか。
A.1 グリーンピースのウェブサイトによると、中国湖北省において、未承認の遺伝子組換え米が栽培、販売されていたとのことです。グリーンピースの検査では、米の種子2検体から害虫抵抗性のBtタンパク質の一種が検出されました。Btタンパク質とは、Bacillus thuringiensisという細菌由来のタンパク質で、これを食べた特定の害虫を死なせる効果があり、害虫抵抗性を植物に持たせるために、これを生成する遺伝子を利用した遺伝子組換え食品がつくられています。
Q.2 中国で見つかった遺伝子組換え米が日本に輸入されている可能性はありますか。
A.2 農林水産省が中国側の輸出国営企業に確認したところ、近年、湖北省から日本に米が輸出された実績はないとのことです。
Q.3 この遺伝子組換え米を食用とした場合、人の健康上の問題はありますか。
A.3 グリーンピースによると、米から検出されたBtタンパク質は、Cry1Acタンパク質とのことです。このタンパク質は、既に日本で安全性の確認がなされている遺伝子組換え食品にも含まれています。
Q.4 日本で遺伝子組換え米が発見された場合、どのような措置がとられますか。
A.4 日本では、遺伝子組換えした米で安全性の確認がされたものはなく、どのような種類の遺伝子が組み込まれていたものでも、食品衛生法違反となり、輸入、販売等が禁止されています。したがって、遺伝子組換え米が発見された場合には、それを取り扱っている事業者に対しこれを回収、廃棄させる等必要な措置がとられることになります。
Q.5 厚生労働省では今後どのような対応をとりますか。
A.5 厚生労働省では、昨日この情報を入手し直ちに中国政府に対し、事実関係や、米に組み込まれた遺伝子情報など詳細についての情報提供を求めています。また、準備が整い次第、念のため、検疫所において中国産米を対象に遺伝子組換え米が含まれていないか検査を実施する予定です。
未承認の遺伝子組換え米が栽培されていたのでも危ないなぁと思うのですが、販売までされていたというのには驚きました。
人の健康上の問題はあまりなさそうですが、他の農作物への影響なども考えられるので、管理をしっかりして欲しいですね。
4月26日追加
中国における安全性未確認の遺伝子組換え稲の栽培について(農林水産省)
先般、中国国内において安全性未確認の遺伝子組換え稲が栽培されているという報道があり、厚生労働省では、中国政府に対して事実関係の確認を行っているところでありますが、念のための措置として中国産米穀の輸入時に遺伝子組換え米が含まれていないかの検査を開始するよう昨日付けで検疫所に指示したところであります。
このことを踏まえ、農林水産省としては、中国産米穀の取扱いについて以下のとおりとしましたのでお知らせ致します。
1.政府保有在庫について政府が保有する中国産米穀の在庫(約14万5千トン)については、その全てを対象に、厚生労働省が輸入時に実施する検査と同じ内容(報道にある遺伝子組換え米穀が産出するBtタンパク質の有無)の検査を実施したが、その結果、いずれも検出されなかった。
このため、検査実施中販売を差し控えていた中国産米穀について、定例販売を再開することとする。
2.今後の輸入について当面、平成16年度に輸入契約を締結し、現時点において未輸入の中国産米穀約3万トン(MA一般:約1万7千トン、SBS:約1万3千トン)については、厚生労働省による検査のほか、輸入業者の希望に応じて上記1の検査を追加的に実施し、食品衛生法への適合性を確認する。
また、平成17年度に輸入を行うものについても、厚生労働省との連携を図りつつ、食品衛生法に適合し、安全性が確認されたものを輸入するよう、適切に対応することとしている。
用語解説
遺伝子組換え作物ってなんだろう