中国産「はるさめ」等からの過酸化ベンゾイル誤検出のお詫び
去る平成16年7月30日および8月5日に、県内に流通している中国産「はるさめ」等から過酸化ベンゾイル(※1)を検出したとの県環境保全研究所の検査結果を公表いたしておりますが、その検査結果に誤りがあったことが判明いたしました。
ご迷惑をおかけしました関係の皆様、消費者の皆様に、深くお詫びを申し上げます。
検査結果の誤りが確定した8月23日、直ちに関係自治体を通じて、輸入業者等に対し、経緯、状況を連絡するとともに、回収・廃棄を中止するようお願いいたしました。翌24日以降、職員が直接訪問して、お詫びを申し上げ、今回の事情説明をさせていただきました。
さらに、この情報を全国に提供するために、新聞各紙及び本県ホームページにお詫びと正しい検査結果を掲載し、輸入業者等の皆さまの信頼回復に努めるとともに、広く消費者の皆さまへの情報提供を行ってまいります。
今回の検査は、国の公定検査方法を一部変更して実施したため、何らかの妨害物質(分析の妨げとなる物質)を誤って過酸化ベンゾイルと解釈してしまったものです。
その後、埼玉県衛生研究所の協力等により得たデータを参考にして、県環境保全研究所が行った再検査により、当初の検査結果に誤りがあったことが確認されました。
今後、他の公設機関、国等と協力し、より精度の高い検査方法を確立してまいります。
また、環境保全研究所におきましても、検査体制等を改善し、検査の精度保証に一層努力してまいります。
過酸化ベンゾイルが検出されなかった中国産「はるさめ」等は、安心してご賞味いただくことができます。
今回の件で、ご迷惑をおかけしました皆さまには、誠に申し訳なく思っております。重ねて、心からお詫びを申し上げます。
平成16年(2004年)8月26日
長野県知事 田 中 康 夫
過酸化ベンゾイル誤検出の原因について
液体クロマトグラフの記録紙や検出例を示して解説していますが、ちょっと分かり難いかも。
知事会見(中国産「はるさめ」等の検査結果に誤りがあったことについて)
平成16年8月25日(水)に行われた会見の模様が載っています。
大半の自治体 標準法採用 春雨検査 ずさんな県対応
県内で販売されていた中国産春雨などの添加物検査の際、県が国の通知した標準的な検査方法(公定法)より時間短縮が図れる独自の検査方法によって、食品衛生法で使用が禁止されている「過酸化ベンゾイル」を検出したと誤って発表した問題で、過酸化ベンゾイルの混入を検査した他の全国十四自治体のうち十三自治体は公定法で検査していたことが二十七日、分かった。残る広島市は長野県と似た独自方法を採用していたが、公表はせず、業者を所管する自治体に通報するだけにとどめていた。独自検査で十分な確認をせず十業者、十一種類の製品の名前を誤発表した長野県の対応のずさんさが浮き彫りになった。
厚生労働省は「精度管理に問題があった」との見解を示し、県が改善を図ったかを調査するため、職員の派遣を検討している。
厚労省によると、国が過酸化ベンゾイルの検査を強化した六月以降、長野県以外に全国十四都府県・政令指定都市が検査し、過酸化ベンゾイルを検出した。信濃毎日新聞社がこれらの自治体に取材したところ、このうち公定法でない検査をしたのは広島市だけだった=表。
公定法順守の法的義務はないが、多くの自治体が「検査の信頼性担保」のため公定法を採用している。横浜市は「公の検査で公定法以外はあり得ない。他の方法では信頼性が担保できない」と指摘。宮城県では別種類の検査機器も使ってクロスチェックをしていた。京都府は「仮に独自の方法でやっても、確定には公定法での確認が必要になる」としている。
広島市は、公定法とは違う規格の器具を一部で使い独自の検査をした。ただ、健康被害の緊急性が薄いのと「検査に百パーセントはあり得ない」(食品保健課)との判断から自ら公表はせず、輸入業者の所在地で処分権限のある自治体に通報して対応を任せた。長野県の誤発表発覚後に、あらためて公定法で検査したが、結果は変わらなかったという。
長野県食品環境課によると、今月五日に業者から検査結果に対する抗議があり、検査をした県環境保全研究所(長野市)に検査資料を要求し、公定法と違う検査をしていたことを初めて知ったという。
同研究所の青山貞一所長は公定法以外の検査方法を使った理由について「短期間に大量のサンプルが送られてきた時、なるべく早く結果を出そうというのが研究者・技術者の考えるところ。今後は他県の研究所との間でクロスチェックできる体制を目指したい」と話している。(信濃毎日新聞 )
こういった検査を行う時は、公定法でやるのが当たり前だと思うのですが、業者から抗議が来るまで検査法を確認していなかったのもいい加減だなぁと感じます。
また県環境保全研究所の所長の「短期間に大量のサンプルが送られてきた時、なるべく早く結果を出そうというのが研究者・技術者の考えるところ。」ってのは違うんじゃないかと・・・研究者なら正確な結果を出そうとするのを第一に考えて欲しいです。
9月2日追加
検出未確定のまま報告 県の春雨禁止物質検査ミス
県内で販売されていた中国産春雨などに使用を禁止されている「過酸化ベンゾイル」が含まれていたと県が十業者、十一種類の製品の名前を誤発表した問題で、検査をした県環境保全研究所(長野市)が、確認のための別の検査(クロスチェック)に失敗したのに、他の検査機関に検査依頼するなどの確定作業をしないまま最初の検査結果を県食品環境課に報告、同課がそのまま発表していたことが三十一日、分かった。国が通知した標準的な検査方法(公定法)でなく時間を短縮する独自方法(時短検査)で検査していたことを含め、専門家からは同研究所の検査の甘さを指摘する声が出ている。
クロスチェックとは、複数の異なった方法で検査、確認する方法です。
一般に正しく作業が行われたか確認するために行われます。
たとえば食品ですと、賞味期限の印字機械の設定を1名ではなく、2~3名で確認している会社が多くあります。
これは、1名ですと単純な勘違いなどにより設定ミスを起こす場合があるため、そのミスを減らす為に行っています。
1名がミスをする確立を1%とすると、2名ともミスをする確立は0.01%、3名ともミスをする確立は0.0001%と格段にミスを起こす確立を減らす事ができるため採用されています。
今回の場合、県環境保全研究所(長野市)がクロスチェックに失敗した時点で、最初の検査結果の精度に疑問を持たなかったのが大きな間違いだったように感じます。これでは、クロスチェックをやった意味がないじゃないかと・・・
この研究所の今までの研究結果の信用性まで落ちてしまうかも知れない大きなミスですね。