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2010年3月 5日 (金)

JAL機体整備工場見学会その10

JAL 日本航空

JAL機体整備工場見学会その10


次はこちらの席に着席してくださいと、エコノミークラスのシートが設置してあるモックアップへ
それまで、ファーストクラスやビジネスクラスのシートでくつろいでいたので、狭いシートに現実に戻されたような気がしました。
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これからある事が起こりますので、指示に従ってくださいとの説明がありました。


そして・・・


機長からのアナウンスがありました。
「当機はエンジントラブルにより航行不能となりました。海上への緊急着水を行います。」
客室の後ろからは、「キャー」と言う悲鳴や「怖いー」とパニックになった乗客の叫び声が聞こえてきます。

CAさんが、大きな落ち着いた声で、「大丈夫」「落ち着いて」と客室をコントロールします。

さて、あと11分30秒で着水です。
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最初にクルー同士で着水時間の確認、誰が何を行なうかの確認をします。

そしてCAさんからにこやかな笑顔が消え、真剣な表情へと変わります。
最初は、対衝撃姿勢の説明です。
「両手を組んでーー」「頭を付けてー」
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身振り手振りを交えて、大きな声で簡素に説明します。

前の席が無い人は、足を肩幅に開いて自分の足首をつかむと言っていたので、やってみましたが、シートベルトを締めてその格好をするのは結構辛いと思いました。(体が固い人だと手が届かない?)

次に、救命胴衣着用の説明です。
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「シートベルトを外し、座席の下から救命胴衣を取り出し、着用してください。」
正直本当に着るの?って思いました。
CAさん達が客室を回り、救命胴衣着用の手伝いを行います。
参加者は28名居ましたが、釣りのライフジャケットを着たことがある人は居ても、飛行機の救命胴衣を着たことがある人は居なかったんではないでしょうか?
狭い座席の間に潜り込んで救命胴衣を取るにもオロオロ、CAさんはスッと着ていますが、どっちが前でどっちが後ろなのか、裏表がどっちなのかも直ぐに判りません。
何をするのか前もって何も聞かされていなかったので、軽いパニック状態???
バタバタしながらも、CAさんの助けもあり何とか着用出来ました。
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「JAL社員の方居ませんかー?」
「はい」とJAL社員役をお願いします。と書いた紙を受け取った方が返事をすると
「脱出時のドアの補助をお願いします。」「あなたとあなた席を換わってください。」といったやり取りもありました。


そしていよいよ着水です。
操縦席では機長が必死の操縦を行っています。
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対衝撃姿勢で着水に備えます。
「頭をさげて」「HEAD DOWN」「頭をさげて」「HEAD DOWN」の声が響きます。
そして、ガガッ・・ガガガガァーという音と共に照明が点滅して消えました。
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着水成功です。
「大丈夫!!」「落ち着いて!!」とCAさんに声をかけられながら、ドアから脱出です。
10名ずつ輪になって固まり、乗客全員が脱出した事を確認して避難訓練終了となりました。


機長からは、非常時にコックピットでは時間管理を行っていることをお聞きしました。
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CAさん達は、キャプテンから連絡があった着水時間を絶対のものとして、逆算してその時間で何が出来るのか計画をたて実行します。
もし急に30秒でも着水が早まったりしたらどうなるか、訓練後だったので言葉の重みが伝わってきました。
CAさんからは、絶対にあってはならない事ですが、非常時に遭遇した際は、今回の経験を活かし、周りの人に救命胴衣の着方を教えて頂くとか、協力をお願い致します。との挨拶がありました。
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エンジンが全て故障し、空港に引き返すことも出来ずに、緊急着水を選択する状況というのは極めて稀です。
ですが、USエアウェイズ機がハドソン川に不時着水した例もありますし、常にどんな事態にも冷静的確に対処出来るように訓練しておくことは大切だと思います。
そう考えるとハドソン川の奇跡ではなく、パイロット&客室乗務員のスキルの高さによる当然の結果だったのかなと思えてきます。(幾らか運が良かった所もあったかと思いますが・・・)

実はこの救命胴衣は訓練用の物で、紐を引っ張っても膨らまない物だったのですが、大サービスで2着だけ当たりが混ざっていました。
自分の救命胴衣をウリャッと引っ張ってみました。
膨らまない・・・
自分のはハズレでしたが、当たりの人の物は首の周りがバシュッと膨らみました。
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機内で膨らませないでと言う理由は、膨らませてしまうと足元が見えなくなるためとの事です。
膨らむのも2段階になっていて、1段階目だけでも充分浮くことが出来るようになっているそうです。


救命胴衣を脱いでからユックリと各部の説明もして頂きました。
自分のはマレーシア製でした。
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ひろげて貰ったところです。
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意外と首を通すところが狭いと感じました。

海水に触れると点くようになるライトや周りの人と海上ではぐれない様に繋ぐためのフックも付いています。
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そしてイベントの最後は、モックアップで記念撮影でした。
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ご趣味でしたら男性の方がCAの制服を着ることも可能ですよ。とか恐ろしい提案もありました。

2010年3月 4日 (木)

JAL機体整備工場見学会その9

JAL 日本航空

JAL機体整備工場見学会その9

客室訓練部内の施設紹介です。

ビルのフロアにドーンと設置されているモックアップ
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本物の機体と同じサイズで、機内が再現されています。
通路や客席のスペースも、もちろん一緒、実際に乗務した時に体がスムーズに動くように練習します。


訓練生は、本物の機体と思って扱っているそうです。
自分も気分を盛り上げるために、携帯電話の電源を切って搭乗します。

こちらは、ビジネスクラスのシート
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アテンションプリーズで上戸彩さんが放り投げていたクッションがある。
えーっと、実は客室訓練部の見学が出来ると決まってから、嬉しくって全話見直しました。
アテンションプリーズ スペシャル ハワイ・ホノルル編を見逃していたことが判明して軽く凹みました。


こちらは、授業を行なう教室
CAは常に見られていることを意識するように教室のカーテンを開けて授業を行うそうです。
一般者の見学は出来ませんが、CA希望の学生さんとか、色々と見学者が来るようです。
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休憩時間はカーテンを閉めて良いんですよ。との事で、ギャレーを仕切るカーテンに見立てているそうです。
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メイクアップルーム
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資生堂さんが来て、メイクの指導を行うそうです。
照明の明るさが客室と同じになるように調整することが出来るので、機内できれいに見えるお化粧の練習を行います。
外で見るとちょっと派手に見えるんですよねぇ。との事で、新人さん時代には、そのままの化粧で帰宅し、ギョッとされたり、ジロジロ見られた事がある・・・なんて失敗談も伺いました。
この部屋は、鏡が斜めに設置されており、歩き方の練習にも使うそうです。


あまり使わないようですが、作法をならうための畳敷きの和室もあったりします。
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どの窓からも空港の様子を眺めることが出来ます。
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きっと目の前を行く飛行機を眺めて自分が客室乗務員になった姿を思い描いて訓練を頑張るんだろうなぁ。


英会話教室
国内線の業務を一定期間行うと、国際線への移転訓練が行われます。
私は国内線だけがいい。と言っても必ずやらなくてはならないそうです。
会話は教官にモニターされているため、誤魔化したりは出来ないんですよ。と、叱られた時の話をしてくれました。
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リカー教室
機内で提供するお酒についてや、カクテルの作り方を学んだりします。
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機内は与圧されているとはいえ、0.8気圧ほどしかないので、地上で飲むより酔っ払い易くなります。
地上でいつも大丈夫な量でも、機内では本人が思っている以上に酔っている事があるそうです。
席から立ち上がった時に初めて泥酔している事に気が付いたり、中にはトイレで倒れたりするお客様も多いとか・・・

美味しいお酒は、ついつい飲みすぎてしまいますが、ほどほどに楽しんでください。とのことです。
リカーカートを押させて貰ったりもしましたが、中身があると40kg程もあり結構重かったです。
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機体が揺れる事が予想される場合はサービスを行いませんが、足でペダルを踏むとロックされて動かなくなるようにもなっています。
ちなみにリカーカートには、鍵がかかるようになっており、CAさんしか中身を取り出せないようになっています。
また、国によっては、関税の書類を作成したりする場合もあるそうです。


こちらの窓からの眺め
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空港に不釣合いな和風の建物はVIPが手続きを行なう建物
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歩いていると唐突に置いてあるボーイング767のドア
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この機体、ドアの操作方法に独特の癖があり、ちょっと操作にコツがいるそうで、いつでも好きなときに操作訓練が行えるように設置してあるそうです。
CAさんと、キャプテンから、ドアのオートマチックモードの説明もありました。
「乗務員は、ドアモードをオートマチックポジションに変更してください。」とか、アナウンスされるアレですね。
オートマチックでは、ドアを内側から開けると、脱出用のシューターがバーンと出るようになっているそうです。
オートマチックの状態でもドアを外側から開けた場合は作動しないようになっているとか、マニュアルモードでドアを開けてからオートマチックモードに入れても作動しないとか、機種によって違いもあるんですよ等と解説して貰いました。


ギャレー
実際の機体と同じギャレーも用意されています。
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食器なども用意され、サービスの練習などに使われています。
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ナチュラルチーズについての講義の後だったのでしょうか?ホワイトボードにはビッチリと説明がありました。
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救急救命訓練
結構無造作な感じに置かれていた人工呼吸や心臓マッサージの練習用人形
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実際に触らせて貰うとかなり難しいです。

本当に練習する時は電源を入れ、ランプで正しく心臓マッサージが行われているか測定するそうなのですが、すぐ死んじゃった状態になってしまうとか、何度も失敗して上達したそうです。
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気道を確保する様子
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こちらは、少し前の型だそうですが、ファーストクラスのシートです。
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実際に食事の時のテーブルを出してもらったり、寝る時のフラットな状態に動かしてもらったりしました。
ただこのシート訓練で多く使用されるためか、動きがスムーズじゃない場所があったりして、CAさんが「えぃっ」と力を入れてテーブルを引っ張ったら「パキ」と鈍い音がしたような・・・
他のCAさんにお願いだから壊さないでよーと言われ、その後シートの引き出しを開けたときも「バキ」・・・
本物の引き出しじゃなくて、ダミーの板まで外しちゃう、お茶目なCAさんに楽しく解説して頂けました。
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次は、大変な事件に巻き込まれます・・・

2010年3月 3日 (水)

JAL機体整備工場見学会その8

JAL 日本航空

JAL機体整備工場見学会その8

CAさんの1日の仕事の流れの説明に戻ります。
とにかくやることが非常に多くフライト前からフライト終了後まで仕事が山積みとなっています。

出頭時刻(ショウアップ)
国際線、国内線の違いのほかに搭乗する機種によっても時間が異なるそうです。
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退社時に予定をしっかりと確認せずに帰り、翌日、羽田に出社したら、あなた今日は成田からフライトよ。と羽田から成田まで自腹でタクシーを飛ばす事もあるとか・・・

掲示確認・書類P/U
SVCプロシージャに関する変更等の掲示を確認します。
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この見学会では、動画撮影と録音が禁止されていたのですが、ほとんどの場所で静止画なら撮影自由でした。その中で唯一、撮影禁止となったのが、廊下に張り出されていた掲示です。実際の運航やサービス、保安などに関わるとの理由でした。
廊下を歩いているときに本物を何枚か拝見させて貰ったのですが、日本語や英語で様々な内容が掲示されていました。
○○に□□の△△について質問を受けたときの返答例とか、○○の××についての注意事項などなど・・・


機内販売の準備
フライト中の機内販売でも、色々なサービスが始まったりするので、その対応もあります。
例えば、09年12月から国際線機内販売でJAL IC利用クーポンが利用可能になったのですが、最初に利用者が現れたときには、CAさん皆で初めてなので見させてくださいとお願いして決算処理を行った話も伺いました。
携帯電話の電源がOFFでもICチップが使えるそうです。ちなみに電波を通さない箱の中に入れて処理をするそうです。
キャビンアテンダントが開発!JALショッピング

路線情報確認
路線ごとの客層、新しいキャンペーン情報を確認します。


アロケーションチャートの作成
先任の客室乗務員が各乗務員の配置を決めます。
担当するドア、担当するクラス、坦務(GLY/PA/SALES等)
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出発前ブリーフィング
アロケーションチャートに沿って自己紹介、パスポートなどの乗務必携品の確認、当該便のCS方針、お客様に関する情報を共有します。
パスポートを忘れているCAさんも時々居るようですが、ここで気が付けば間に合います。
飛行機への移動


Pre-FlightCheck
CABIN SQWKの有無確認 旅客座席(リクライニングなどの機能)
備品の搭載確認、客室内の清掃状況
ギャレーでは、食事の搭載数、キッチン用備品の搭載確認、ギャレー内の電気系統確認、飲み物カート内のチェックが行われます。
寒いところに駐機してあると凍ってしまうこともあるそうで、カートの外に置くこともあるとか・・
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Cockpit Briefing
メンバーの確認、飛行情報、緊急時を含む相互連絡方法の確認、シートベルトサインの取り扱い確認、操縦室への入退室方法の確認、危険物の有無、お客様情報の確認を行います。

SECURITY CHECK
機内に不審物などがないか、安全上脅威となる物が残されていないかを乗務員が確認する。

Boarding
BAG担当がGATEにて機内に収納できない荷物を事前に案内、WCHRやプライオリティー旅客の案内など

Departure
手荷物収納状況の確認、旅客情報の最終確認、追加MEAL等の確認、ドアモード変更、SafetrDEMO、出発前の最終安全確認を行います。
救命胴衣の説明などはビデオを使用しますが、調子がわるい時は、実際にCAさんが説明を行うそうです。
ファーストクラスの料理は一皿ずつ盛り付けを行い、ご飯も電子レンジを使用して炊飯するそうです。
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料理の温める方法も、カートのヒーターでトレーごと温める方法から、スチームオーブンで加熱する方法へと変わっています。
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機内販売、交代で休憩や食事、路線によっては2度目の食事軽食の準備と続きます。
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到着前
搭載品の収納、保税品処理、機内販売会計処理、上着の返却、着陸前安全確認を行います。

到着後
機内忘れ物チェック、保税品の最終処理、KIへ旅客の引継ぎ、整備へシップ状況の引継ぎ、自分の荷物をまとめて降機

De-Briefing
フライトの振り返り、機内販売実績・金銭の処理、提供した食事のDB入力、提出書類の作成、NGRより伝達事項、帰社確認→次のフライトの確認
食事はどんなものが好まれるのかを把握し、次のフライトの時に、ハンバーグが無くなりフィッシュにして頂けますか?と変更を依頼するなど、お客様にご迷惑をお掛けすることが減るようにしているそうです。

JAL用語の説明もありました。
KI、KDって何の略かと思いますか?
KI=空港インターナショナルスタッフ、KD=空港ドメスティックスタッフの略だそうです。
何でAirportじゃなくて、Kuukouなのだろう・・・

2010年3月 2日 (火)

JAL機体整備工場見学会その7

JAL 日本航空

JAL機体整備工場見学会その7

CAのお仕事解説
まずは、ビジネスクラスのシートに座り、キャビンアテンダントのお仕事解説がスタートです。
モックアップ内で、実際のシートに座るとまるで本当に飛行機に乗ったみたいでワクワクします。
さらに、成田発、ニューヨーク行きのJAL006便の中という設定です。
機内アナウンスも行われ、CAがどのような流れで1日働くのかを順番にスライドで説明しながら、実際の機内サービスを行うという説明がありました。

まずは、機内サービスの模様
グラスを用意
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そして機内にポンッという心地よい音が響き、シャンパンサーブが始まりました。
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頂いたのは、4月から実際に機内で提供される予定の〈ジョセフ・ペリエ〉キュヴェ・ジョセフィーヌ 2002

上品で爽やかな香り、くせも無く非常に飲みやすいシャンパンでした。
機内でついつい飲みすぎてべろべろに酔っ払ってしまう人の気持ちが少し判った様な気がした・・・

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おつまみは、エビ、珍味、乾燥野菜などがありました。

初めに「サービスを受けながら聞いてくださいね。」と言われたものの、ほとんどの方がサービスの方に夢中になっていました。

次は、ほろ酔い気分で聞いていた客室乗務員の1日の働きです。

JAL機体整備工場見学会その6

JAL 日本航空

JAL機体整備工場見学会その6

オレンジ色の空港リムジンバスに乗って客室訓練部へ
このバスに乗るとこれから飛行機に乗るみたいでワクワクします。
途中、キャプテンの解説で、あのビルに飛行機のシミュレーターが有って飛行訓練するんですよ。とか、新しい管制塔について解説して頂いていると数分で到着しました。
このビルでは数フロアを使用しており、別の会社も入っているとの事でした。
まずは会議室で、JALのキャビンアテンダントについての説明です。
またこの部屋の眺めが最高です。
湾岸線を挟んで滑走路が目の前に!!
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他社の機材を撮ると、気のせいかCAさんの視線が冷たいような・・・
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さて、JALの客室乗務員についての説明です。
日本人7千名、外国人千名の約8千名、子会社のJALWAYSやJALエクスプレスを合わせると10,700名ほどとなるそうです。
入社2ヶ月間で専門訓練を受け、乗務を開始し、最初の数年は1年毎に契約更新となるそうです。


CAには、保安要員としての働きと、サービス要員としての役割があります。
それぞれの役割を学ぶために救難訓練やサービス訓練を実施しています。

JALのCAの目標にしているフレーズは、「気さくで美人」
気さくとは、誰からも話しかけられるような雰囲気を保つことを指し、美人とは、見た目の美しさが主ではなく、技量の高いおもてなし、心のこもったサービスをできる人の事を美人と例えているそうです。

社内にはサービス品質評価制度があり、大きく分けてヒューマンエレメンツ、テクニカルエレメンツに分かれます。
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Human Elementsの項目
プレゼンス・身だしなみ・笑顔・基本的態度
乗務姿勢・YESの発想・学習意欲・工夫

Technical Elementsの項目
技量・立ち居振舞い・挨拶・会話力・話し方・心配り・対応力・環境への配慮・知識とその実践・クルーコミュニケーション

項目として並べられると、非常に多くのことを要求される職場なんだなと驚きます。
次は施設内の見学です。


2010年2月28日 (日)

JAL機体整備工場見学会その5

JAL 日本航空

JAL機体整備工場見学会その5

M2ハンガーへと移動します。
こちらは旧JASが使用していた設備です。

ヘルメットを被って下から飛行機を見上げて見学するのですが、トラブル発生!!
CAさんが髪の毛を後ろでお団子状に纏めていたのですが、出っ張りが大きくてヘルメットに頭が入らない・・・
M2ハンガーを巡る間ずっと片手で押さえていました。
客室乗務員の制服を着てハンガーに来ることは、ほとんど無いそうです。

エアバス300-600R
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ランディングギアの整備で翼をジャッキアップして持ち上げて有ります。
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雪が降る悪天候でしたが、見学会のためにわざわざ格納庫の扉を少し開けていてくれました。
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ボーイングの機体はヒップダウン
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ヨーロッパ製エアバスの機体はヒップアップ
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など、垂直尾翼付近のボディのシルエットで機種を判別するポイントを教わりました。

ちょうど目の前に着陸してくるので見ていて楽しいです。
エコジェットも降りてきました。
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キャプテンさんに羽田空港の着陸について解説して頂きました。
この日は着陸に34Lを使っていたのですが、「丁度木更津から真っ直ぐに降りてくるんですよ。」
「降下角度は3度位ですが、そのまま着陸すると衝撃が強いので、ちょっと角度を緩くして直前に1.5度位にするんです。」というのがポイントだそうです。
風向きが逆の時はディズニーランドをグルッと回るように旋回して着陸するそうです。

JALの方に好きな飛行機は何ですか?と聞くと帰ってくる答えが多かったB747
あと数年で全機売却されてしまうのが残念ですね。
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エアバスとボーイングでは各所に設計思想の違いがあるそうで、同じように人間工学に基づいて設計されているハズなのに、スイッチを入れるにも、押すと引くの違いがあったりと操縦する機種を変更するとなると大変らしいです。


機種の先端はレーダーが入っているため樹脂製で、その先端に被雷した時に電気を逃がす線がついているなど遠くから見えないポイントも説明して貰いました。
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飛行機に雷が落ちるとどうなるかも伺いました。
キャプテンは、落ちたときはほとんど判るとの事で、バシィイイとなるそうです。
整備としては、どこに落ちたのかよりも、どこから電気が抜けていったかの方が重要だそうで、その場所によって修理や点検にかかる時間が大きく異なるそうです。
だいたい電気が抜けた場所には、焦げ目がついたりするそうで、機体の2ミリしかない厚みが1ミリ近く削られてしまうこともあるそうです。

変わった所では、飛行機の事をシップと呼ぶことがあるように、船の仕来たりが未だに根強く残っていたりもするそうです。
飛行機の機体の右側から飛行機に乗った事ありますか?
自分は小牧基地でボーイングKC767の右側扉から入って左側から出た経験がありますが、まぁあれは例外で、機体の左側をポートサイドと呼び、乗り降りはポートサイド側から行います。
反対側の扉は非常時位にしか使用しないそうです。
機体に搭乗するCAさんの人数は、全ドアをカバー出来る人数が基本だそうです。

もう一機整備を行っていたのがマクドネルダグラスMD81
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エンジンが翼ではなく、機体後部についているのが特長の機体です。
翼の位置が低く、機体下部の収容を増やすように少しだるま型をしています。
そしてこの飛行機、搭乗口までの高さが低いため、乗り降り用のタラップが無い不便な空港でも、機体に積んであるタラップで乗客の乗り降りが可能だそうです。
まぁ今どきそんな空港無いですけど・・・ってオチがありますが。

ランディングギアの動作チェックを行うかもという事でしばらく眺めていましたが、見学中に動くところを見ることが出来ませんでした。
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ボーイングのブレーキ部品
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ブレーキは離陸時にとても大切な部品です。
離陸滑走中にトラブルが判明した時、滑走路内で停止しないといけないため、時速350kmで走る離陸時重量400tの機体を止めるために大変強力なブレーキが必要です。

タイヤは、着陸時に白くタイヤスモークが出ることでも判るように磨り減ります。
滑走路に着く、接地面は張り替えて再生し6回ほど使うそうです。
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タイヤの空気は普通の空気では酸素が含まれているため摩擦熱で火災の原因になるそうで、燃えないように窒素ガスが入っています。某カー用品店で乗用車も入れられますが、意味無いんじゃ無いかとも言っていました。

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ちなみに通常で申し込む事が出来る整備工場見学だとこれで見学終了となります。
年間およそ6万人ほどの方が見学に訪れるそうですよ!!
非常に予約が混雑しており、数ヶ月待ちの状態となりますが、個人、団体での申し込みが可能です。
申し込みはコチラ⇒JAL航空教室 機体整備工場へようこそ

さて、お待ちかね!!バスに乗って移動し、次は客室訓練部に潜入します。

2010年2月27日 (土)

JAL機体整備工場見学会その4

JAL 日本航空
JAL機体整備工場見学会その4

整備の話を聞いた部屋を出て、展示物を眺めながら廊下を歩き、ひょいっと曲がったところにある扉のロックをカードキーで開けると!!
そこはバーンと広いM1ハンガーでした。
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東京ドームほどの広さがあるらしいです。
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エアバスA300-600RとボーイングB767の2機が入っていました。
足場で覆われ所々しか姿を見ることが出来ませんので、どっちがどっちだか外見からは判らなかったです。
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重整備なので、エンジンも取り外されてバラバラ
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飛行機は船のようにシップと呼ぶそうで(そういえばスペースシャトルもシップですね)、現在の状況がランプで分かるようになっています。
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機体の周りは足場がビッチリと組まれていて、所々しか見えません。
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塗装などを行うこともあるそうで、覆いも天井から吊るされています。
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取り外された窓や部品などが置かれていました。
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隠されていると何があるかなぁ?って見たくなっちゃいますよね。
と中をチラ見したCAさんが言うには、「どこの場所の部品か書いてあるみたいですよ。」との事でした。
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連絡通路
緑の塗装が印象的な連絡路です。
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ドラマのアテンションプリーズでもよく登場した場所ですね。
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JALショッピング

JAL機体整備工場見学会その3

JAL機体整備工場見学会その3

定期整備の次は運航整備のお話です。

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航空機が到着する1時間ほど前から整備の仕事は始まっています。
まずはデータ端末で到着する機材が出発地でどのような整備が行われたか、不具合やトラブルに対する整備があったかなどを確認します。
着陸の前に、これから飛行機が通るエプロンなどに小石などの異物が無いかチェックします。
エンジンを動かしながら走ってきますので、エンジンに吸い込まれる事があるそうです。

着陸時には、フラップやスポイラーが綺麗に揃って作動しているかなど動作状況を確認し、駐機場へ入るまで監視します。
機体にインターフォンを接続しパイロットから不具合などの状況報告を確認します。
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しゃもじみたいなパドルで飛行機を誘導するマーシャラーは整備士とは違うなんて話もありました。

次に故障に対し、どのような整備を行うか段取りを考えます。
定められた整備を実施し、燃料、オイル、作動油量の確認、補給を行います。
燃料補給は、その機体がどのような運航を予定しているかによって、補給量が変わるのですが、ちょっと天気が悪いから多めに給油して欲しいなどのパイロットからの要望はちゃんと考慮されるそうです。
客室乗務員や運航乗務員と状況確認し定められた整備項目とキャビンの不具合の修理などを行います。
テレビやオーディオが付かない、消えないなどのトラブルがあるそうです。
新しい機種ですと、不具合があったりすると自動的にログに残るようになっているそうです。
最後に資格を持った責任者が法定書類へサインを行い、乗務員への状況説明を行います。
そして最終確認後、機体をPUSH BACKして、手を振ってお見送りとなります。
パイロットや客室乗務員に対して、このシップをよろしく頼むぞという気持ちで、お手振りをします。
お客様に対しては、仕事で乗られたり、レジャーで乗る方など様々なので行ってらっしゃいと、お手振りをします。
客席から手を振られるお客様の姿も良く見えるので、気がついたら手を振って頂けると嬉しいそうです。
整備の仕事では、お見送りをする時が一番達成感を感じられる時だと言われていました。

気を使うのは、整備の遅れが、その後の運航スケジュールに大きく影響を与える事だそうで、8時に出発する機材の整備は、2時間前の6時には整備が終了していないと使用出来ないそうです。
時間を逆算して、どういった整備を行うのか計画をたて、誰がどこの場所を何時までに作業を終わらせるのか指示を出します。
万が一、間に合わないと判断した場合は、機材の変更の手配をお願いし、同型機が手配できない場合はお客様にご迷惑がかかるなど大変な事態になります。
整備が不完全な機体は使えないけど、簡単にダメだしして変更する訳にもいかない・・・

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その後、他社様の整備と比較してどうなんですか?という質問にも答えていただきましたが、オフレコとさせて頂きます。

非常に厳しい基準で部品などの交換を行なっていることが判りましたが、これから会社の経営体制を大きく変化させていく中で、今までの基準をどのように守っていくのか、利益を出していくために基準の見直しが行われるのかが注目されます。

JAL 日本航空

2010年2月24日 (水)

JAL機体整備工場見学会その2

JAL機体整備工場見学会その2

整備士や運航スタッフが「JALの考える安全」についてこだわりポイントをお話します!が始まりました。
通常の見学会では、整備工場を見学する前に、飛行機が飛ぶ仕組みなどをビデオなどを用いて説明するそうですが、いきなり特別メニューです。
今回はどのような体制で整備を行っているか、また整備士が実際にどのようなスケジュールで働いているかについてスライドで説明がありました。
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航空機の整備
航空機の整備は、飛行毎に実施するT整備と定期整備があります。

今回は、定期整備の話を紹介します。

A整備は約1~2ヶ月毎
エンジンや翼、車輪などを点検します。
面白いのがエンジンオイルを化学分析する設備があるところ、50cc抜き取った物を分析にかけ、どのような金属がオイル中に溶け出しているかを測定するそうです。
エンジンのどの部分にどのような金属が使われているのかが全て管理されているため、その検査結果をもとにエンジンの状態を把握する事が出来るそうです。
またアチコチに穴が開くようになっており、ファイバースコープなどで直接エンジン内部を調べることも出来ます。
バードストライクでエンジンに入った場合、ほとんどはバラバラになって外に出るそうですが、ファンブレードの付け根の方に飛び込むと、空気を圧縮するためにファンの間隔が狭い奥まで入り込んでしまい整備が大変になるそうです。

C整備は約1~2年毎
車でいうと車検のようなもの
1週間程をかけて機能、動作の点検を行います。
フラップ、スポイラーなど各部位の動作が規定範囲内である事を確認したり、消化剤の点検なども行います。
また航空機会社や他社と協力して構造点検を行うこともあるそうです。
A社が前から4番目の窓まで、B社が4番目の窓から15番目の窓までなど、同じ機材を使用している運航会社で構造点検を行う場所を分担し、情報を共有化する事で、どれくらいの時間でどの場所がどのようになるかのデータを集める事が出来るそうです。
C整備を行えるのは、成田と羽田の整備場です。

M整備
車でいうとオーバーホールのようなもの
約1ヶ月かけて内装を全部取って構造点検などを徹底的に行います。
X線を当てて、金属疲労のチェックも徹底して行ないます。
航空機会社と航空会社が連携しており、同型機で不具合があったりすると点検期間を短くするなどの対応を行っているそうです。
これらの定期整備は航空会社が勝手に決めている訳ではなく、航空運輸局にどの機材をどれ位の頻度、機種によっては飛行時間だけではなく、飛行回数(離陸して着陸で1回)で定めているそうです。
機体はエアコンプレッサーで与圧し膨らませた状態で上空を飛行しますので、丈夫な金属を使用していても金属疲労が発生します。また着陸のときは機体を支えるギアに衝撃が与えられます。
指定の整備が出来なかった飛行機は車でいうと車検切れの状態となり、使用する事が出来なくなってしまうので、間に合うようにスケジュールを組んで作業を行うそうです。
羽田の整備場で行いますが、海外に点検に出すこともあるそうです。

今はPCを使用する事で、機種ごとの詳しいデータを参照しながら整備できるようになっていますが、人的ミスは必ず起きてしまうもの、それをいかに防ぐかが難しいですね。
1回M整備を行えばその費用は何億円にもなるでしょうから、コスト削減と安全確保といかに両立出来るのか、これからのJALにとって難しい問題です。
ですが、整備士さん達が自信を持って整備した機体を飛ばせる体制はしっかりとして欲しいと思います。

JAL 日本航空

2010年2月21日 (日)

JAL機体整備工場見学会その1

JAL機体整備工場見学会その1

なんだかんだと600枚近く撮影したのですが、その中から110枚ほどをピックアップして紹介していきます。
長いレポになりそうなんで先にショートバージョンを作成しました。ほとんど同じ内容になると思いますので、サクっと読みたい方はそちらを御覧ください。
富士山静岡空港.com JAL(日本航空)機体整備工場見学会

ようやくJALメインテナンスセンター1へ侵入します。
見学会は13時からなのに雪の降る中9時前から羽田空港をウロウロしていましたが、ようやく目的地に到着です。
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エレビーターで3階に登ると模型がお出迎えです。
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見学会が始まるまで時間があったので、同じフロアにあった展示品をみていました。
前日までに全話見直してきたアテンションプリーズのロケ風景
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JAL 日本航空

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